認知症にはどうしてなるのか,なったときはどうしたらよいのか

1.認知症とは?

認知症とは,普通に生活することができていた人が,脳の病気やけがなどによって,脳の働きが低下してしまい,ものを覚える,言葉を使う,道具を使う,いろいろなことを計画して行っていくなどのことができなくなり,家庭生活,あるいは仕事に支障がでてくる程度まで低下した状態をいいます.
年をとると認知症は多くなりますが,年をとっただけで認知症になることはありません.認知症となるのは何らかの原因があります.
認知症になる原因はいろいろありますが,高齢者の認知症の原因として一番多いのはアルツハイマー病です.普通に生活しているうちに,ゆっくりと物忘れが強くなり,いろいろなこともだんだんできなくなって来る人の多くはアルツハイマー病です.


2.アルツハイマー病とは

アルツハイマー病とは脳の中にアミロイドという異常なものがたまり,ゆっくりと脳細胞が減っていく病気です.高齢になるほど多くなり,40〜65歳では千人に一人,65〜70歳では五十人に一人, 70〜80歳では20人に一人,80歳以上では5人に一人がアルツハイマー病と考えられています.
新しいことを覚える働きのある「海馬」から病気が始まってくるため,最初は新しいことが覚えられないということから始まります.少し前のことを覚えていない,約束を忘れる,同じことを何度も言う,日にちが分からないというようなことが見られます.
進行すると今まで覚えていたこともできなくなり,忘れてしまいます.さらに進行すると生活での介助が必要になります.中には不安が強くなったり,,気持ちが落ち込んだり,幻覚,妄想,徘徊なども見られることがあります.


3.アルツハイマー病をどのように診断するか

まず患者さんと家族からどのように物忘れが進んできたかを聞きます.アルツハイマー病の患者さんの多くは,自分では物忘れがあるとは感じていませんが,家族の人は簡単なことも忘れてしまうと感じています.患者さんは忘れてしまったことを,取り繕って話をしていく傾向が見られます.
物忘れはゆっくりと強くなってきます.怒りっぽくなることや,自分から何かをすることが減ってしまうこともあります.長谷川式簡易知能評価スケールという検査で,どの位脳の働きが落ちているか調べます.
さらに脳CTという方法で脳の状態を画像で調べます.脳の萎縮を心配する人が多いのですが,脳の萎縮だけではアルツハイマー病かどうかは判断できません.
以上のようなことを総合して,認知症かどうか,そうであればアルツハイマー病がその原因かどうかを調べます.


4.アルツハイマー病と診断されたときには

アルツハイマー病は病気であり,どうして症状が出ているかを考えて,対応していくことが基本です.治すことはできませんが,症状を改善させる薬があります.認知症が軽いときは,なるべく今まで通りの生活を続け,できないことをおぎなう工夫をします.できることはやっていくようにします.
認知症がさらに進むと,できないことが増えて,助けが必要となってきます.困った症状もでることがあり,自分からは何もしなくなることが多いので,刺激を与える,デイケアに行くなどが必要になってきます.
高度の認知症になると,着衣,入浴,食事,トイレなどの日常動作で助けが必要となり,介護保険などを使うなどの介護の方法を考えていく必要があります.

ゆっくりと物忘れから始まり,認知症となったときは多くはアルツハイマー病が原因です.その他が原因のこともあります.病気かどうか診断を受けて,もしそうだったときは,それに対して適切な治療と対応が必要です.